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コカ・コーラ The Coca-Cola Company・KO

NYSEUS-GAAP12月決算 飲料(濃縮原液+独立ボトラー)データ基準日 2026/7/24

世界最大の飲料会社。コンビニで売られている缶・瓶を実際に作っているのはコカ・コーラ社ではなく、世界約200社の独立した「ボトラー」。本体は門外不出の濃縮原液とブランドだけを持つ「アセットライト」なフランチャイズモデルで、連結営業利益率は28.7%(FY2025)。時価総額約3,539億ドル(約57.97兆円)、64年連続増配の「配当王(Dividend King)」。

💡 はじめての方へ:コカ・コーラの缶を手に取ったとき、それを作った会社は「コカ・コーラ社」だと思いがちですが、実は違います。作っているのはCCEPやFEMSAといった、世界中にある独立した「ボトラー」という別会社。コカ・コーラ本体が持っているのは、レシピ(濃縮原液)とブランドだけです。工場も配送トラックもボトラー任せにすることで、身が軽いのに高い利益率を実現しています。

01企業カルテ

FY2025通期実績(2025年12月期・2026/2/10発表、SEC 10-K確定値)と直近の市場評価。

売上高(FY2025)
479.4億ドル
+1.9%・約7.86兆円(163.8円換算)
営業利益
137.6億ドル
+37.7%(利益率28.7%・前期21.2%から急改善)
純利益
131.1億ドル
+23.3%・EPS $3.04
自社出資ボトリング事業の利益率
7.4%
売上の12.0%を占めるが、原液4地域セグメント平均38%の1/5
時価総額
3,538.8億ドル
約57.97兆円・株価$82.25(26/7/24)
PER(実績TTM)
25.9
予想24.9倍・コンセンサス目標株価$88.30
配当利回り
2.58%
64年連続増配の「配当王」・年$2.12
ROIC(筆者試算)
17.7%
推定WACC約6%を大きく上回る
成長性
Organic成長は+5%だが為替・構造変化を含む実質売上成長は+1.9%と地味
収益性
営業利益率28.7%はPepsiCo(12.2%)・キリン(9.7%)の2倍以上
財務健全性
自己資本比率32.7%。有利子負債454.9億ドルだが安定したCF創出力で吸収可能
株主還元
64年連続増配(Dividend King)。2010年以降の累計配当額は時価総額の約28%に相当
バリュエーション
PER25.9倍は52週高値圏。フリーキャッシュフローの見た目の歪み(後述)に注意

※5軸評価は本レポート筆者の見解であり、投資勧誘ではありません。円換算は1ドル=163.80円(2026/7/24)。

💡 読み方:2024年に営業利益率が21.2%へ落ち込んだのは、2020年に買収した高級ミルクブランド「fairlife」の買収条件(アーンアウト)の会計上の再評価で3,109百万ドルもの費用を計上したため。2025年にこの一時金の支払いが完了し、利益率は本来の水準である28.7%へ戻りました。「一時的な会計上のノイズ」と「本業の実力」を分けて見ることが、この会社の決算を正しく読む鍵です。

02ビジネスモデル図解

モノ()・カネ()・情報()の流れで見る、コカ・コーラの稼ぎ方。

カネの流れ モノ・サービスの流れ 情報の流れ
起点門外不出の濃縮原液(コンセントレート)とブランド
定説飲料メーカーは自社で工場を持ち、製造から瓶詰め・配送まで一貫して手がけるもの
逆説コカ・コーラ本体は原液の製造とマーケティングだけに特化し、製造・瓶詰め・配送・営業という重い部分を世界約200社の独立ボトラーに外注する「アセットライト・フランチャイズ」。工場と配送網という重い資産を持たないから、連結営業利益率は28.7%に達する

コカ・コーラ社は最大5社の独立ボトラー(Coca-Cola Europacific Partners=CCEP、Coca-Cola FEMSA、Coca-Cola HBC、Arca Continental、Swire Coca-Cola)だけで世界の販売数量の44%を担う体制を敷き、原液・シロップを販売した対価として「インシデンス・プライシング」(ボトラー側の販売価格・チャネル構成に連動する価格設定)による原液代金を受け取る。ボトラーは資本関係のない独立企業であり、KOの連結決算には製造コスト・配送コスト・工場の設備投資が乗らない。一方で、一部の地域(主に新興国や再建中の市場)ではKO自身が出資してボトリング事業を連結する「Bottling Investments」セグメントを持つが、この自社出資ボトリング事業の営業利益率はわずか7.4%——独立ボトラーに任せている4地域セグメント(EMEA・中南米・北米・APAC、平均38%前後)との差が、原液フランチャイズモデルの資本効率の高さを裏付けている。

💡 やさしく:コカ・コーラ本体は「魔法の粉(原液)」と看板(ブランド)だけを持つ会社。工場や配送トラックを持つ「ボトラー」という別会社が、水や砂糖・炭酸を加えて缶や瓶に詰め、お店まで届けます。コカ・コーラ社と世界約200社のボトラーを合わせた「コカ・コーラシステム」全体では70万人以上が働いていますが、コカ・コーラ社本体の社員はわずか6万5,900人。「重い仕事」をボトラーに任せているからこそ、本体は身軽で高収益なのです。

03成長の歩み — コロナ後の値上げ主導で6年連続増収

2020年のコロナ禍で減収(▲11%)した後、値上げ(Price/Mix)中心の増収を続け、FY2025は過去最高の479.4億ドルへ。

売上高の推移(FY2020〜FY2025)

単位:億ドル ■濃い棒=直近期

営業利益率の推移

FY2024はfairlife一時金の会計処理で落ち込み、FY2025に反発

希薄化後EPSの推移

単位:ドル

FY2026はアナリスト予想でEPS $3.27(+7.6%)・FY2027は$3.48(+6.4%)。24人のアナリストのうち19人が買い推奨(Strong Buy/Buy)。

04今期の焦点 — なぜ営業利益率28.7%なのか:地域別売上×利益率のギャップ

連結の稼ぎ頭は「原液を売るだけ」の4地域セグメント。自社出資ボトリング事業だけが際立って利益率が低い理由を分解する。

セグメント別売上構成(FY2025)

売上高479.4億ドルの内訳(10-K開示の構成比から算出)

セグメント別営業利益率(FY2025)

自社出資ボトリング事業だけが1桁台

北米(40.8%)・EMEA(22.6%)・中南米(13.2%)・APAC(11.1%)の4地域セグメントは合計で売上の87.7%を占め、営業利益率は25.9%〜59.1%と高水準。一方、KO自身が出資して連結している「Bottling Investments」(売上の12.0%)は7.4%にとどまる——同じ会社の中に「原液を売るだけの高収益事業」と「実際に製造・配送する低収益事業」が同居している構図がはっきり見える。

連結営業利益率の前年比変化(FY2024→FY2025)

単位:%ポイント。fairlife一時金の反動が主因

FY2024の「その他営業費用」4,163百万ドルのうち3,109百万ドルはfairlife買収時の条件付対価(アーンアウト)を公正価値で再評価した会計上の費用。2025年3月にこの一時金6,173百万ドルの支払いが完了し、2025年の「その他営業費用」は1,261百万ドル(うち960百万ドルはBodyArmor商標の減損)に減少。この一時要因の反動だけで営業利益率を押し上げた分が大きく、投資判断では「一時金の有無」を必ず補正して見る必要がある

💡 やさしく:2024年の決算が悪く見えたのは、2020年に買った牛乳ブランド「fairlife」の"出世払い契約"の精算で一時的に大きな費用を計上したから。2025年にその支払いが終わったことで、利益率は元の水準に戻っただけです。買収の後払いを一括処理する米国会計のクセを知らないと、「急に儲かるようになった」と誤解してしまいます。

05財務3表ビジュアル

身軽なP/L・厚い有利子負債のB/S・一時金で歪んだC/Fという3枚が、フランチャイズモデルの財務的な特徴を映し出す。

PL滝グラフ — 売上479.4億ドルはどこへ消えるか(FY2025)

単位:億ドル
💡 やさしく:479.4億ドル売って、原材料・製造原価(自社出資ボトラー分等)で184.0億ドル、販管費・その他費用で157.8億ドルを使い、本業のもうけは137.6億ドル(28.7%)。日本円で約2.25兆円——これは自社で工場を構える食品会社では簡単に届かない水準です。

BS比例図 — 総資産1,048.2億ドルの中身(FY2025末)

箱の高さ=金額。自己資本比率32.7%

総資産の15%(154.9億ドル)はのれん——Costa(コーヒー)やBodyArmor(スポーツ飲料)などのブランド買収の蓄積。有利子負債は454.9億ドルとやや厚めだが、工場を持たない分、同規模の製造業と比べて設備投資(FY2025は21.1億ドル、売上比4.4%)は軽い。

キャッシュフロー(FY2025)

単位:億ドル。営業CF74.1億ドル

営業CFが前期比+8.9%にとどまって見えるのは、2025年3月に支払ったfairlife買収の一時金61.0億ドルが含まれるため。この一時金を除いた実力ベースのFCF114.0億ドル(会社発表の非GAAP指標)で、GAAP表示の52.96億ドルとは2倍以上の開きがある。

06収益性 — ROE43%をデュポン分解する

工場を持たないビジネスモデルは、資産回転率よりも「利益率の高さ」で稼ぐタイプ。

ROE(FY2025・平均残高ベース)
43.2%
27.3%
売上高純利益率
飲料業界では極めて高い(実力)
× 0.47回
総資産回転率
のれん・有価証券が重く回転は遅い
× 3.39倍
財務レバレッジ
有利子負債454.9億ドルを活用

平均残高ベースの筆者概算(stockanalysis.com算定のTTM値43.37%とほぼ一致)。回転率0.47回はApple(1.15回・ファブレスで資産が軽い)より低いが、純利益率27.3%はAppleの26.9%に匹敵する水準——「資産を素早く回す」のではなく「1回の販売あたりの取り分を厚くする」タイプの高ROEである点がAppleと対照的。

ROIC vs WACC — 資本コストを上回っているか(筆者試算)

単位:%。FY2025末時点

ROIC=NOPAT(営業利益137.62億ドル×(1−実効税率17.9%)≒113.0億ドル)÷投下資本(株主資本342.75億ドル+有利子負債454.92億ドル−現金同等物158.06億ドル=639.61億ドル)≒17.7%。推定WACC(6%前後)を大きく上回り、資本コストを上回る価値創造ができている。セブン&アイ(ROIC4.14%・フランチャイズ本部と直営が混在)より明確に高く、Apple(60%超・ファブレス)には及ばないが、消費財セクターとしては高水準。

💡 やさしく:ROIC17.7%は「商売に使うお金1に対して毎年0.18稼ぐ」ということ。工場を自社で持つ食品・飲料会社の多くは10%に届かないことも珍しくなく、原液とブランドだけに資本を集中させる戦略がここでも効いています。

07会計基準ビュー — US-GAAP / JGAAP / IFRS

コカ・コーラはUS-GAAP採用。独立ボトラーCCEPはIFRS、キリン・サントリーはJGAAP——同じ飲料ビジネスでも決算書の作られ方が違う。

どの「利益」で見るかで印象が変わる(FY2025)

単位:億ドル
詳しく見る:会計基準の技術的差異(US-GAAP/JGAAP/IFRS)
  • のれん(154.9億ドル)は非償却・減損テストのみ。BodyArmor商標の減損9.6億ドル(2025年)のように、価値が毀損した期に一括で費用計上される「まだら」な利益構造になりやすい
  • 「経常利益」区分はなく、営業利益の下は金融損益・持分法損益(ボトラーからの持分法利益20.3億ドル)・その他損益が並ぶだけのシンプルな構造
  • fairlife買収の条件付対価(アーンアウト)を毎期公正価値で再測定し損益計上する処理は、US-GAAP特有の考え方。JGAAPには類似の一般的な処理慣行がなく、日本の投資家には分かりにくい特殊項目
  • JGAAPならのれんは20年以内で規則償却が必要。154.9億ドル(約2.5兆円)を仮に20年均等償却すると年間約1,250億円の追加費用が発生し、営業利益は目減りして見える
  • 「経常利益」に相当する段階がないため、日本株と比較する際は営業利益か税引前利益で揃える必要がある
  • 独立ボトラーへの出資は持分法で会計処理される点はJGAAP/USGAAPで大枠は近いが、開示の粒度(セグメント別の持分法損益内訳等)は米国基準の方が詳細
  • IFRSでものれんは非償却・減損テストのみでUS-GAAPと同じ思想。ただしIFRSは「その他の営業収益・費用」の区分の柔軟性が高く、営業利益の定義が会社によりばらつきやすい
  • 独立ボトラーCCEPはIFRS採用(ロンドン・アムステルダム・ニューヨーク上場)。KOとCCEPの営業利益率(28.7% vs 13.4%)を比較する際、基準はほぼ同じ思想でも収益認識の細部(リベート・値引きの表示区分等)で差が出ることがある
💡 やさしく:米国基準の決算書には日本でおなじみの「経常利益」がありません。またコカ・コーラ独特の「買収の後払い(アーンアウト)を毎期再評価して損益に響かせる」処理は、JGAAPにはない発想です。ルールの違いを知らないと、2024年の一時的な費用計上を「経営悪化」と読み違えてしまいます。

08同業比較 — 「原液モデル」と「自前生産モデル」の利益率格差

10-Kが名指しする競合PepsiCo・キリンホールディングスと、KO製品の独立ボトラー最大手CCEP(IFRS採用)を比較(2026/7時点)。

営業利益率の比較

単位:%。KOの28.7%は自前生産型の飲料メーカーを大きく上回る

スナックも製造するPepsiCo(12.2%)、ビール・飲料に加え医薬・ヘルスサイエンス事業を持つキリン(9.7%)、そしてKO製品を実際に瓶詰め・配送する独立ボトラーCCEP自身(13.4%)——いずれも「モノを作って運ぶ」比重が大きい会社は、KOの半分以下の利益率にとどまる。KOが原液とブランドだけに資本を集中させていることの効果が、同業比較でも定量的に裏付けられる。

💡 やさしく:コカ・コーラを瓶詰めしているCCEP自身の利益率(13.4%)でさえ、KO本体(28.7%)の半分以下。「同じコカ・コーラの看板の下で働いていても、原液を作る側と瓶詰めする側では儲けの構造がまったく違う」——これが原液フランチャイズモデルの本質です。

バリュエーション・株主還元の比較

2026/7/24時点

PER25.9倍は4社中最も高く、キリン(15.7倍)はもちろんPepsiCo(17.9倍)・CCEP(21.0倍)も上回る——市場はKOに高いプレミアムを与えている。ROE43.4%はPepsiCo(51.5%)より低いが、キリン(12.2%)・CCEP(22.9%)を大きく上回る。配当利回り2.58%はPepsiCo(4.33%)より明確に低いものの、64年連続増配という継続性ではPepsiCo(54年)をわずかに上回る。

09戦略・課題と改善ポイント

原液フランチャイズモデルは盤石。課題は北米の収益性・訴訟リスク・カテゴリーの健康志向シフトへの対応。

強み Strengths

  • 世界最大の飲料ブランド網と33.8億ケース(FY2025)の販売規模
  • アセットライトモデルによる営業利益率28.7%(PepsiCoの2倍超)
  • 64年連続増配の「配当王」。2010年以降の累計配当は約1,020億ドル
  • 5大独立ボトラーで世界販売数量の44%をカバーする効率的な生産・配送体制

弱み Weaknesses

  • 自社出資ボトリング事業の営業利益率はわずか7.4%と、原液セグメントとの格差が大きい
  • 北米セグメントの営業利益率25.9%は、他の3地域(38〜59%)より明確に低い
  • 2025年のGAAP営業CFはfairlife一時金の影響で実力を過小に見せる(見た目の複雑さ)
  • BodyArmor(2021年買収)の商標で2年連続の減損(2024年7.6億ドル・2025年9.6億ドル)

機会 Opportunities

  • 営業利益率59.1%と最も高い中南米セグメントでのさらなるシェア拡大
  • ゼロシュガー・水/スポーツ/コーヒー/茶カテゴリー、fairlifeなど健康志向シフトへの対応
  • Jack Daniel's & Coca-Colaなどアルコール飲料への参入で新カテゴリーを開拓
  • 自社出資ボトリング事業(Bottling Investments)のさらなるリフランチャイズでアセットライト化を進める余地

脅威 Threats

  • IRSとの税務訴訟が最終的に不利な結果となれば、2010〜2025年分で最大140億ドルの追加負担リスク
  • 砂糖・アルミ等のコモディティ価格上昇と、関税など通商政策の変化
  • 各国での砂糖税・プラスチック規制の強化
  • ドル高局面では海外売上の円換算・ドル換算の目減り(FY2025は為替が連結営業利益を12%押し下げ)

改善ポイント(優先度つき)

最優先

北米セグメントの収益性改善

売上の40.8%を占める最大セグメントの営業利益率が25.9%と4地域中最低。値上げ余地とコスト構造の見直しが焦点。

最優先

IRS税務訴訟の決着

2010〜2025年分で最大140億ドルの追加負担リスクが残る。控訴審の行方次第でBSに重い影響を与えうる。

中期

自社出資ボトリング事業のさらなる整理

営業利益率7.4%の事業を独立ボトラーへリフランチャイズし続けることで、連結全体の利益率をさらに押し上げられる。

中期

健康志向カテゴリーの拡大

fairlife・水・スポーツ・茶などの伸長カテゴリーへの投資配分を、伝統的な炭酸飲料からどこまでシフトできるか。

10投資メリット・デメリット

「原液フランチャイズモデルの資本効率の高さ」は本物。論点はPER25.9倍という『配当王プレミアム』にどこまで払えるか、が本レポートの総括。

▲ 強気材料(メリット)

  • 営業利益率28.7%はPepsiCo・キリンの2倍超。原液フランチャイズモデルの構造的な優位性
  • 64年連続増配のDividend King。配当の継続性・予測可能性が非常に高い
  • fairlife一時金の反動一巡で、FY2026以降はFCFの見た目の歪みが解消される見通し
  • 中南米(利益率59.1%)・中東等でのシェア拡大余地
  • ROIC17.7%(筆者試算)が推定WACC6%を大きく上回る資本効率

▼ 弱気材料(デメリット)

  • PER25.9倍(TTM)は52週高値圏。「配当王」への信頼がすでに株価に織り込まれている
  • 北米セグメントの利益率が4地域中最低で、最大市場の収益性改善が停滞するリスク
  • IRS税務訴訟で最大140億ドルの追加負担が生じる可能性が残る
  • 砂糖税・プラスチック規制など、健康・環境規制の強化圧力が続く
  • 円建て投資家は為替(163円台の円安水準)の反転リスクも負う

3つのシナリオ(筆者試算)

強気シナリオ北米収益性改善+新興国シェア拡大でEPS $3.48×PER28倍=$97.4(約1万5,960円換算)
中立シナリオコンセンサス通りEPS $3.27×PER25倍=$81.8(約1万3,391円換算・ほぼ現値)
弱気シナリオ北米停滞・IRS訴訟悪化でEPS $3.00×PER20倍=$60.0(約9,828円換算)
💡 はじめての方への総括:チェックポイントは3つ。①北米セグメントの営業利益率(25.9%から改善するか)、②GAAP営業CFの正常化(fairlife一時金の影響が消えるFY2026以降、114億ドル規模のFCFに戻るか)、③IRS税務訴訟の進展(最大140億ドルのリスクがどう決着するか)。「原液を作ってブランドを守るだけで稼ぐ」という仕組みそのものは世界最強クラスで、問うべきは「配当王という安心感にいくら払うか」です。