Google検索・YouTube・クラウド(Google Cloud)・生成AI(Gemini)を擁する世界最大級のテクノロジー持株会社。直近12カ月の売上高は4,225億ドル、営業利益率は32.7%と高水準を維持。ただし純利益急増の一部は一時的な非営業損益によるもので、本業の実力とは区別して見る必要がある。
直近12カ月(TTM・2025年4月〜2026年3月)実績と現在の市場評価。
※5軸評価は本レポート筆者の見解であり、投資勧誘ではありません。円換算は1ドル=162.40円概算。
モノ(緑)・カネ(黄)・情報(青)の流れで見る、Alphabetの稼ぎ方。
「無料サービスで利用者と情報を集め、その裏側で広告主から広告費を得る」という二面市場(ツーサイドマーケット)構造がAlphabetの根幹。検索・YouTube・Gmail等の無料サービスは利用者を集めるための入口であり、収益の柱は広告。規模で見ると、広告収入が中心のGoogle Servicesが売上の85.0%(3,427億ドル)を占め、依然として稼ぎの本体。近年はこの巨大なデータ・計算基盤とAI技術を転用し、企業向けクラウド(Google Cloud、売上の14.6%=587億ドル)と生成AI(Gemini)という法人課金の第二の収益源を育てているが、規模では依然広告の6分の1程度。Other Bets(Waymo等)は0.4%(15億ドル)とごく僅少。なおYouTube動画クリエイターへの広告収益分配額は会社非開示のため本図では金額を示していない。
広告事業の安定成長に加え、クラウド事業の黒字化・拡大が近年の増益を牽引。
TTM純利益1,602億ドルのうち、どこまでが本業の実力で、どこまでが一時要因か。まずは稼ぎ頭を特定する。
FY21〜FY24は営業利益>純利益(税金支払いの分だけ目減りする通常のパターン)だったが、FY25・TTMでは逆転。非営業損益(有価証券評価益等)の拡大が、税金支払いを上回るほど純利益を押し上げていることを示す。
TTM営業利益1,381億ドルに対し、非営業損益が563億ドルのプラスで押し上げ、税引前利益1,944億ドルから法人税等342億ドルを差し引いて純利益1,602億ドルとなった。この非営業損益は2025年Q1の112億ドルから2026年Q1には377億ドルへ急増しており、保有する有価証券の評価益等、営業外の一時的要因が主因とみられる(会社側の詳細な内訳開示は今回未取得)。一方、営業利益ベースでは2025年Q1の306億ドルから2026年Q1は397億ドルへ前年同期比+29.7%と、こちらも高い成長を続けており、広告・クラウド事業自体の実力も着実に向上している。
FY2025 10-K(SEC EDGAR)のセグメント情報より。広告中心のGoogle Servicesが利益の大半を稼ぐ。
高い利益率と潤沢なキャッシュ創出力、そして急拡大するAI投資のバランスを見る。
財務CFは+79億ドルとプラス(有利子負債の積み増しによるものとみられる。長期有利子負債は2025年末465億ドルから2026年3月末775億ドルへ増加)。潤沢な営業CF(1,744億ドル)が巨額の設備投資(1,099億ドル)を賄い、なおFCFは644億ドルのプラスを確保している。
ROE38.9%(TTM)をデュポン分解で見る。
期末BSベースの筆者概算(37.9%×0.60回×1.47倍≒33.4%)。2026年Q1に非営業益の計上と連動して総資産・株主資本が急拡大したため、期末値を使う本計算は実際のROE(38.88%)と厳密には一致しない。期中平均ベースの資産・資本を使えばこの乖離は縮小する見込みだが、四半期別の平均残高は今回未取得。
ROIC28.3%(TTM)は推定WACC(7〜8%)を大きく上回り、明確な価値創造の状態。過去5年は35〜52%のレンジで推移しており、直近はやや低下傾向にあるが依然として高水準を維持している。
AlphabetはUS-GAAP採用。広告×クラウドの複合企業特有の会計上の論点を見る。
本サイト掲載の米テック大手6社と比較。
時価総額4.23兆ドルはNVIDIA(4.91兆ドル)・Apple(4.90兆ドル)に次ぐ水準で、Microsoft(2.93兆ドル)・Amazon(2.66兆ドル)を上回る。広告・検索という安定した収益基盤の上に、クラウド・AIという成長事業を積み上げている点が評価されている。
旗印は「世界中の情報を整理する」。課題はクラウド・AI投資の収益化ペースと、広告依存からの多角化。
非営業損益が純利益に与える影響が大きい四半期は、投資家向けに要因を明確に説明することが信頼維持の鍵。
Google Cloud・AI(Gemini)の収益比率をどこまで高められるかが中長期の株価評価を左右する。
現在のセグメント別数値はFY2025(暦年)通期のもので、本ページの他指標(TTM=2025年4月〜2026年3月)とは対象期間が完全一致しない。次回更新では四半期データを積み上げてTTMベースのセグメント収益に精緻化する。
「本業(広告・クラウド)の実力は着実に成長中。論点は純利益の質と、生成AI時代における検索優位性の持続性」が本レポートの総括。