「作った人が見える」安心食材のサブスク宅配EC(B2C)と、給食・フードサービス(B2B)を両輪で運営する食のプラットフォーム企業。2026年に原点回帰して「オイシックス株式会社」へ商号変更。
2026年3月期実績と現在の市場評価のスナップショット。
※5軸評価は本レポート筆者の見解であり、投資勧誘ではありません。
モノ(緑)・カネ(黄)・情報(青)の流れで見る、オイシックスの稼ぎ方。
核は「生産者の情報ごと売る」こと。実物を見られない宅配ECの弱点を、生産者の顔・栽培情報・レシピという「情報」で補い、サブスクで安定収益化する。さらに家庭向けで築いた調達・製造・物流網を、シダックス買収で得た給食事業(B2B)と共通化し、「家の食卓」と「施設の食堂」の両方で稼ぐモデルへ進化している。
大地を守る会(2017)・らでぃっしゅぼーや(2018)・シダックス(2024)の統合で規模を拡大。2025年10月に車両事業を売却し「食」へ集中。
会員数×ARPU(月1.2万円)がB2C売上の源泉。直近2年は35〜36万人台で横ばいが続く。
売上の柱は「宅配(B2C)」と「給食(B2B)」。稼ぐ力(EBITDAマージン)はOisixが圧倒的に高い。
PL(損益計算書)・BS(貸借対照表)・CF(キャッシュフロー)を図で読む。
自己資本比率25.3%(前年22.6%)。車両事業売却でのれんは148億→77億円へ半減し、借入も334億→249億円に圧縮。
投資CFがプラスなのは車両その他事業の売却代金によるもの。売却資金で借入返済(財務CF−92億円)。
車両事業売却の影響を除くと、26/3期は売上+3%・営業利益+21%、27/3期計画は売上+6%・営業利益+46%と、実態は増収増益の加速局面。
ROE16.4%の中身をデュポン分解で見ると、「薄利×高回転×高レバレッジ」型だとわかる。
平均残高ベースの概算。ROICは9.0%で、一般的な資本コスト(5〜7%程度と推定)を上回り、価値創造の状態にある。
同じ会社でも会計ルールで利益は変わる。オイシックスは日本基準(JGAAP)採用。最大の差はのれんの扱い。
完全な同業が存在しないため、「宅食・外食のワタミ」「食品サブスクD2Cのベースフード」と比較(2026/7/17時点)。
オイシックスのPER11.8倍は、成熟企業のワタミ(9.2倍)と高成長期待のベースフード(53.1倍)の間。市場は「安定はしているが高成長はまだ確信していない」という値付け。中計EPS175円(CAGR11%)を市場が信じればPERの切り上がり余地があり、逆に会員数減が続けばワタミ型の評価に近づく。
中長期目標(30/3期):EPS175円(CAGR11%)・売上3,250億円・EBITDA190億円。B2B給食のロールアップ型M&Aが成長エンジン。
2年間35万人前後で横ばい(中期目標60万人)。「子育て前半〜食べ盛り」世代への価格・量・時短提案(超ラクKit・たすだけシリーズ)で再加速できるかが最大の論点。
給食子会社の統合は26〜27年に進行中。運営標準化でB2B EBITDAマージンを4.9%→6.2%(27/3期計画)→中期的にさらに引き上げる実行力が問われる。
大地を守る会・らでぃっしゅぼーや・Purple Carrotは売上−9%。ブランド整理・統合の判断も選択肢に入る。
ラストワンマイルの大半をヤマト運輸に委託。値上げ耐性の確保と、B2C×B2B共同物流による効率化が課題。
「事業を整理して財務はきれいになった。次は本業の成長を証明する局面」というのが本レポートの総括。