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🕒 最終更新: 2026-09-03

コムシスホールディングス 1721

東証プライム日本基準(JGAAP)3月決算 通信建設業(NTTグループ系)データ基準日 2026/8/31

日本コムシス・サンワコムシスエンジニアリング・TOSYSの3社共同株式移転で2003年に誕生した通信建設業界最大手級の持株会社。2026年3月期は売上高6,307億円(前期比+2.6%)、営業利益509億円(同+10.7%)、純利益363億円(同+20.7%)と3期連続の最高益。2027年3月期第1四半期はさらに増収増益が加速し、純利益は前年同期比+47.4%。

💡 はじめての方へ:コムシスホールディングスは、スマホの電波が届くための基地局工事や、企業のデータセンターをつなぐ配線など「通信インフラの現場工事」を専門にする会社です。NTTグループの電話工事会社をルーツに持つ「日本コムシス」を中心に、2003年に複数の通信建設会社が集まって持株会社になりました。今期は本業のもうけ(営業利益)も最終利益(純利益)もそろって過去最高を更新しています。

01企業カルテ

2026年3月期実績(2026年5月12日開示)と2027年3月期第1四半期実績(2026年8月14日開示)、現在の市場評価。

売上高(26/3期)
6,307億円
+2.6%・通信品質改善工事とIT大型案件がけん引
営業利益
509億円
+10.7%(利益率8.1%)・生産性向上が寄与
親会社株主に帰属する純利益
363億円
+20.7%・3期連続の最高益
ROE
9.4%
前期8.2%から改善
自己資本比率
70.7%
前期69.3%からさらに向上
受注高
6,856億円
+7.3%・繰越高も積み上がる
時価総額
6,446億円
株価5,463円(26/8/31)
PER(会社予想)
16.69
PBR 1.58倍・利回り2.47%(予想)
成長性
売上高+2.6%、受注高+7.3%と3期連続の増収増益。2027年3月期第1四半期は売上+8.6%・純利益+47.4%とさらに加速している
収益性
営業利益率8.1%は前期7.5%から改善。ITソリューション事業(+11.3%)が牽引役となり、生産性向上の取り組みが利益率に表れている
財務健全性
自己資本比率70.7%は建設関連業として非常に高水準。有利子負債は24億円とごく小さく、実質無借金に近い財務構造
株主還元
年間配当130円(配当性向41.7%)から27/3期予想135円へ増配方針。配当性向は同業の関電工と比べやや控えめな水準
バリュエーション
PER16.69倍・PBR1.58倍は同業の協和エクシオ(PER15.13倍)と近いが、ミライト・ワン(PER12.5倍)と比べるとやや割高。関電工(PER16.81倍)とはほぼ同水準

※5軸評価は本レポート筆者の見解であり、投資勧誘ではありません。参考:26/3期実績(単位:百万円)は売上高630,658・営業利益50,904・経常利益52,164・純利益36,307、EPS311.60円・BPS3,456.24円。受注高685,617百万円。営業CF42,469百万円・FCF31,583百万円・現金期末残高41,333百万円。27/3期会社予想は売上高670,000百万円・営業利益54,000百万円・純利益37,860百万円・年間配当135.00円。27/3期第1四半期実績は売上高139,329百万円(前年同期比+8.6%)・営業利益9,905百万円(同+29.6%)・純利益8,538百万円(同+47.4%)。

💡 読み方:建設・工事業は一般に自己資本比率が低くなりがちですが、コムシスHDの70.7%は東京エレクトロンなど無借金優良企業に匹敵する水準です。これは工事代金の回収サイクルが安定していることと、持株会社として傘下8グループの利益が積み上がっていることの表れです。

02ビジネスモデル図解

モノ()・カネ()・情報()の流れで見る、コムシスホールディングスの稼ぎ方。

カネの流れ モノ・サービスの流れ 情報の流れ
起点NTTグループの電話工事会社をルーツに持つ「日本コムシス」を中心に、三和エレック(現サンワコムシスエンジニアリング)・東日本システム建設(現TOSYS)の3社が2003年に共同株式移転し、純粋持株会社コムシスホールディングスが誕生した
定説通信建設会社は、NTT等の通信キャリアから工事を請け負う「下請的」なビジネスで、発注元の設備投資サイクルに業績が左右されやすいとされる
逆説コムシスHDの通信キャリア事業(NTT・NCC向け)は2026年3月期の売上構成比44.8%にとどまり、ITソリューション事業(22.0%)・社会システム関連事業(33.2%)を含む3事業構成に多角化している。特にITソリューション事業は前期比+11.3%と3事業中もっとも成長率が高く、データセンター建設・生成AI関連投資という新たな需要を取り込みながら、通信キャリアへの依存度を年々下げている

連結売上高6,306億円の内訳は、通信キャリア事業が2,828億円(44.8%)で最大、社会システム関連事業が2,092億円(33.2%)ITソリューション事業が1,386億円(22.0%)。事業を担うのは日本コムシス・サンワコムシスエンジニアリング・TOSYS・つうけん・NDS・SYSKEN・北陸電話工事・コムシス情報システムという8つの統括事業会社グループで、地域や機能ごとに役割分担しながら現場の施工を担っている。

💡 やさしく:コムシスHDを「地域ごとに支店を持つ工事専門商社グループ」に例えると分かりやすい。NTTグループという大口顧客からの仕事(通信キャリア事業)を軸にしながら、企業のシステム構築(ITソリューション事業)やデータセンター建設(社会システム関連事業)にも仕事の幅を広げることで、通信キャリア1社の投資動向に業績が振り回されにくい構造を作っている。

03成長の歩み - 資材高騰の谷を越え、3期連続の最高益へ

2022年3月期から2026年3月期までの5年間、2023年3月期に営業利益が落ち込んだが、その後は一貫して増収増益を続け、2026年3月期は売上高・営業利益・純利益がいずれも過去最高を更新した。

売上高の推移(22/3期-26/3期)

単位:億円 濃い棒=直近期

営業利益と純利益の推移

単位:億円。2023年3月期に資材・労務費高騰の影響で営業利益が落ち込んだ

ROEの推移

2023年3月期7.3%を底に、2026年3月期9.4%まで回復基調

2027年3月期会社計画:売上高6,700億円(+6.2%)、営業利益540億円(+6.1%)、純利益378.6億円(+4.3%)。2027年3月期第1四半期はすでに売上+8.6%・営業利益+29.6%・純利益+47.4%と会社計画を上回るペースで進捗している。

やさしく:2023年3月期に営業利益が321億円まで落ち込んだのは、資材価格や労務費が急上昇し、受注時に見積もった金額とのズレが利益を圧迫したためです。その後、価格転嫁と生産性向上(DX活用による業務効率化)が進み、2026年3月期には営業利益509億円・純利益363億円と、いずれも過去最高を更新しました。

04今期の焦点 - 通信キャリア一本足からの脱却、明暗分かれる8グループ

2026年3月期の3事業の明暗ははっきりしている。ITソリューション事業が売上+11.3%と最も伸び、社会システム関連事業は前期の一過性要因の反動で-1.0%。8つの統括事業会社グループの間でも、コムシス情報システムグループの+75.0%からサンワコムシスエンジニアリンググループの-16.7%まで、成長率に大きな開きが出ている。

3事業の売上高推移(25/3期から26/3期)

単位:億円。ITソリューション事業が最も高い伸び率

通信キャリア事業は2,787億円から2,828億円(+1.5%)とほぼ横ばい。NCC設備事業(NTT以外の通信事業者向け)の設備投資減少をNTT設備事業の通信品質改善工事(モバイル)の好調が相殺した。社会システム関連事業は2,113億円から2,092億円(-1.0%)と減収だが、これは前期に計上した一過性要因の反動によるもので、大規模データセンター案件・建物電気設備案件の施工自体は順調に進捗している。

統括事業会社8グループ別 売上高YoY(26/3期実績)

単位:%。コムシス情報システムグループが突出
やさしく:コムシス情報システムグループの売上が+75.0%と急拡大しているのは、グループ内の組織改編で「つうけんグループ」が担っていたITソリューション事業の一部子会社をコムシス情報システムグループへ移管したためです(つうけんグループの-12.8%はこの移管が主因)。サンワコムシスエンジニアリンググループの-16.7%は、通信事業者の設備投資抑制の影響を受けたもので、組織改編によるものではありません。同じグループでも減収の理由が異なる点に注意が必要です。

05財務3表ビジュアル

売上6,307億円・自己資本比率70.7%のコムシスHDのPL・BS・CFを図で読む。

PL滝グラフ - 売上6,307億円はどこへ消えるか(26/3期)

単位:億円
やさしく:6,307億円売って、工事原価と販管費で5,798億円が消え、本業のもうけとして509億円(8.1%)が残ります。ここに営業外損益や特別損益を加減し、法人税を払った後、最終的に363億円(5.8%)が株主のものとして残ります。

BS比例図 - 総資産5,657億円の中身(26/3末)

箱の高さ=金額。自己資本比率70.7%

受取手形・完成工事未収入金等が総資産の大半を占める工事業らしい資産構成。有利子負債は短期借入金24億円のみとごく小さく、実質無借金経営に近い。

キャッシュフロー(26/3期)

単位:百万円。営業CF424億円

FCF(営業CF-設備投資・筆者算定)は+316億円。財務CFは配当支払140億円・自己株式取得113億円等により238億円の流出。営業CFは前期比+2.6倍(166億円から424億円)と大きく改善した。

06収益性 - デュポン分解で見るROE9.4%の中身

ROE9.4%は前期8.2%から改善したが、東京エレクトロン(8035)のROE29.6%のような資本集約型ハイテク企業とは対照的に、工事業らしい「薄利×高回転」の収益構造が透ける。

ROE(26/3期・決算短信公表値)
9.4%
=
5.76%
売上高純利益率
工事業として標準的な水準。ITソリューション事業の伸びが利益率の押し上げに寄与
x 1.141回
総資産回転率
工事未収入金など運転資本を抱えるため、製造業のような高回転は望めない業態
x 1.428倍
財務レバレッジ
自己資本比率70.7%という高い財務健全性の裏返しで、レバレッジは低め

5.76%x1.141回x1.428倍=9.38%(決算短信公表値9.4%と概ね一致。回転率・レバレッジは期中平均残高ベースの筆者概算)。東京エレクトロン(純利益率23.5%x回転率0.89回x レバレッジ1.41倍=ROE29.6%)と比べると、コムシスHDは「薄い利益率を、財務健全性の高さで補う」対照的な構造で、ROICと自己資本比率を軸に評価すべき事業特性が表れている。

ROIC vs WACC - 資本コストを上回っているか(筆者試算)

単位:%。概算値

ROIC=NOPAT(営業利益509.04億円x(1-実効税率29.61%)=358.31億円)÷投下資本(自己資本3,998.93億円+有利子負債24.13億円=4,023.06億円)=8.91%。現金及び預金(420.33億円)を除いた事業ベースの投下資本(3,602.73億円)で見るとROIC9.95%に上昇する。いずれも推定WACC(5.5%程度)を上回っており、資本コストを超えて価値創造できている水準。

やさしく:ROICは「事業に投じたお金1円あたり、何円もうけたか」という商売の実力測定です。コムシスHDは8.91%と、資本コスト(5.5%程度)を上回っています。ROE9.4%との差が小さいのは、自己資本比率が高く(負債への依存が小さく)財務レバレッジがあまり効いていないためで、「見た目の高さ」と「事業の実力」の差が小さい、素直な収益構造といえます。

07会計基準ビュー - JGAAP採用

コムシスホールディングスは日本基準(JGAAP)を採用。決算短信で「主として国内で事業活動を行っており、国内企業間の比較可能性を踏まえ、当面は日本基準で連結財務諸表を作成する方針」と明言しており、IFRS移行の具体的計画は開示されていない。

利益段階の比較(26/3期)

単位:億円
  • 営業利益509.04億円に対し、経常利益は521.64億円と12.6億円大きい。この差は受取配当金・投資有価証券売却益等の営業外収益が営業外費用を上回ったことによるもので、JGAAPでは営業利益と切り離して「営業外損益」区分に計上される
  • 建設・工事業特有の会計処理として、コムシスHDの連結子会社は工事進行基準(一定の期間にわたり充足される履行義務)を採用している案件が多い。IFRS第15号でも同様の考え方(一定の期間にわたる収益認識)が採用されているため、収益認識のタイミングの差は比較的小さいとみられるが、JGAAPは「未成工事支出金」「未成工事受入金」という独自の勘定科目を使う点が実務上の大きな違い
  • 統括事業会社8グループの多くが買収・株式交換で加わった経緯があり、のれんが計上されている。JGAAPでは規則的償却(最長20年以内)を行うが、IFRSでは非償却・毎期の減損テストのみとなるため、将来の期間損益への影響が会計基準で異なる
やさしく:もしIFRSを採用していたら、傘下グループ会社買収時に発生した「のれん」を毎年少しずつ費用化する必要がなくなり、その分だけ利益が押し上げられる可能性があります。JGAAPは保守的にのれんを償却する分、将来の減損リスクを毎期少しずつ前もって費用化しているとも言えます。

08同業比較 - 通信建設・電気設備工事3社との差

NTTグループ向けの通信建設で直接競合するミライト・ワン(1417)・協和エクシオ(1951)、電力設備工事最大手の関電工(1942)と比較(2026年8月31日時点の株価・valuation、各社2026年3月期実績)。

コムシスHDミライト・ワン協和エクシオ関電工

売上規模では関電工(7,420億円)と協和エクシオ(7,877億円)がコムシスHD(6,307億円)を上回り、ミライト・ワン(6,024億円)はやや小さい。営業利益率はコムシスHD8.1%に対し、ミライト・ワン5.7%・協和エクシオ6.6%・関電工11.2%と、電力インフラ系の関電工が突出して高い。自己資本比率はコムシスHD70.7%が4社中で最も高く、財務健全性の面で頭ひとつ抜けている。PERはコムシスHD16.69倍・関電工16.81倍がほぼ同水準で、協和エクシオ15.13倍、ミライト・ワン12.5倍はやや割安な評価となっている。

やさしく:4社とも通信・電力インフラの現場工事を担う会社ですが、関電工だけ営業利益率が2桁と際立って高いのが特徴です。これは電力会社向け設備工事という顧客基盤の違いによるもので、通信キャリア向けの3社(コムシスHD・ミライト・ワン・協和エクシオ)は5〜8%台の利益率で横並びです。その中でコムシスHDは自己資本比率の高さで財務の安定感が際立っています。

09戦略・課題と改善ポイント

3期連続の最高益という追い風の裏側に、通信キャリア事業の成長鈍化と、統括8グループ間の格差拡大という2つの構造的な論点を抱える。

強み Strengths

  • 受注高6,856億円(+7.3%)・繰越高も積み上がり、来期以降の売上の仕込みが厚い
  • 自己資本比率70.7%は同業3社(ミライト・ワン、協和エクシオ、関電工)を大きく上回る財務健全性
  • 通信キャリア・ITソリューション・社会システム関連の3事業構成で、通信キャリア1社への依存リスクを分散
  • 2027年3月期第1四半期は純利益+47.4%と会社計画を上回るペースで進捗している

弱み Weaknesses

  • 通信キャリア事業の売上は+1.5%とほぼ横ばいで、成長の主エンジンはITソリューション事業に依存している
  • 統括8グループ間の業績格差が大きく(コムシス情報システムグループ+75.0%からサンワコムシスエンジニアリンググループ▲16.7%)、グループ経営の一体感に課題
  • 配当性向41.7%は関電工など同業と比べやや低めで、株主還元の積極性は中程度
  • ROIC8.91%はROE9.4%と近く、財務レバレッジをほとんど効かせていない分、資本効率の伸びしろは限定的

機会 Opportunities

  • データセンター建設ラッシュ(首都圏・関西圏)、再生可能エネルギー関連工事の拡大が社会システム関連事業の追い風
  • 生成AI活用・DX投資の拡大がITソリューション事業の受注機会を押し上げている(コムシスグループ2030ビジョン策定済み)
  • インドネシア支店設立など海外事業の展開余地
  • 次世代コンテナ型データセンター「TOSYS Cube Park NAGANO」等、水冷・液浸冷却技術を活用した新サービスの立ち上げ

脅威 Threats

  • NTTグループの設備投資動向が業績の下支えである以上、通信キャリアの投資縮小は業績への直接的なリスク
  • 建設業界共通の技能労働者の高齢化・人手不足、働き方改革対応によるコスト増
  • 資材価格・労務費の再高騰が起きれば、2023年3月期のような利益率悪化が再発するリスク
  • グループ内組織改編(子会社の異動等)が続くと、統括グループ別の業績比較の連続性が損なわれる

改善ポイント(優先度つき)

最優先

通信キャリア事業の成長ドライバー再構築

+1.5%という伸び悩みに対し、メタル回線から光回線への移行工事や10Gインターネット対応工事など、新たな工事需要をどこまで取り込めるかが焦点。

最優先

統括グループ間の業績格差是正

サンワコムシスエンジニアリンググループ・つうけんグループの減収要因(設備投資抑制・組織改編)を踏まえ、グループ間の連携施工体制の強化で底上げを図る必要がある。

中期

株主還元の積極化

配当性向41.7%・自己株式取得は実施しているが、自己資本比率70.7%という財務余力を踏まえると、還元強化の余地はまだ残る。

中期

海外事業・新規サービスの本格収益化

インドネシア展開や次世代データセンターは方向性として評価できるが、連結業績への寄与度はまだ小さく、中期的な規模拡大が課題。

やさしく:コムシスHDの課題は一言で言うと「稼ぎ頭を通信キャリア事業からITソリューション・社会システム関連事業へどこまでシフトできるか」です。すでに3事業の合計では前期比+2.6%の増収ですが、中身を見ると成長の主役は入れ替わりつつあります。この移行がうまくいくかどうかが、来期以降の業績を左右します。

10投資メリット・デメリット

「3期連続の最高益・高い財務健全性」と「通信キャリア事業の成長鈍化・グループ間格差」がせめぎ合う局面。2027年3月期第1四半期の好調な滑り出しをどこまで通期に織り込めるかが本レポートの総括。

▲ 強気材料(メリット)

  • 受注高+7.3%・2027年3月期第1四半期の純利益+47.4%と、会社計画を上回るペースで進捗している
  • 自己資本比率70.7%は同業3社を大きく上回り、財務健全性の面での安心感が高い
  • 通信キャリア・ITソリューション・社会システム関連の3事業構成で、特定顧客への依存リスクを分散できている
  • データセンター建設・生成AI関連投資という構造的な追い風がITソリューション事業・社会システム関連事業を下支え
  • 27/3期会社予想でも増収増益(売上+6.2%・営業利益+6.1%)を計画しており、成長の踊り場は見えていない

▼ 弱気材料(デメリット)

  • 通信キャリア事業の売上は+1.5%とほぼ横ばいで、成長エンジンがITソリューション事業に偏っている
  • 統括8グループ間の業績格差が大きく、グループ経営として一体感を欠く局面がある
  • PER16.69倍・PBR1.58倍はミライト・ワン(PER12.5倍)と比べ割安感に乏しい
  • ROIC8.91%とROE9.4%の差が小さく、財務レバレッジをほとんど効かせていない分、資本効率の伸びしろは限定的
  • 配当性向41.7%は同業の関電工と比べやや低めで、株主還元姿勢は積極的とは言えない水準

3つのシナリオ(筆者試算)

強気シナリオ2027年3月期第1四半期のような大幅増益が通期でも続き、市場評価も改善 → EPS400円xPER18倍=7,200円水準
中立シナリオ会社計画(EPS327.22円)通りに27/3期を織り込む → EPS327.22円xPER16.69倍=5,463円前後(現値近辺)
弱気シナリオ資材・労務費の再高騰やNTTグループの投資縮小で成長が鈍化 → EPS280円xPER13倍(ミライト・ワン並み)=3,640円前後
はじめての方への総括:チェックポイントは3つ。①通信キャリア事業の成長率(+1.5%の伸び悩みから抜け出せるか)、②統括8グループ間の格差(コムシス情報システムグループのような成長役をどれだけ増やせるか)、③自己資本比率70.7%という財務の余力(株主還元強化やM&Aの原資になるか)。「業績は3期連続で最高益を更新している」ことと「今の株価で買って報われるか」は別の問いである、と覚えておいてください。