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🕒 最終更新: 2026-09-03

安藤・間(安藤ハザマ) 1719

東証プライム日本基準(JGAAP)3月決算 建設業(準大手ゼネコン)データ基準日 2026/8/31

旧安藤建設と旧間組(はざまぐみ)が2013年に統合して誕生した準大手ゼネコン。2026年3月期は売上高4,396億円(前期比+3.4%)で増収を確保したが、営業利益は336億円(同△4.6%)と減益。一方、投資有価証券売却益が特別利益を押し上げ、純利益は297億円(同+12.5%)と増益。自己資本比率は46.0%→50.6%へ1年で4.6ポイント急改善した。

💡 はじめての方へ:安藤ハザマは、ダムやトンネルなどの「土木」と、高層ビルなどの「建築」の両方を手がける総合建設会社(ゼネコン)です。2013年に「安藤建設」と「間組(はざまぐみ)」が一緒になってできました。今期は本業のもうけ(営業利益)は減りましたが、保有していた株式を売った利益が上乗せされて最終的な利益(純利益)は増えるという、少しねじれた決算になっています。

01企業カルテ

2026年3月期実績(2026年5月14日開示)と現在の市場評価。

売上高(26/3期)
4,396億円
+3.4%・土木・グループ事業がけん引
営業利益
336億円
△4.6%(利益率7.6%)・建築の採算が悪化
親会社株主に帰属する純利益
297億円
+12.5%・投資有価証券売却益が押し上げ
ROE
15.7%
前期16.3%からやや低下
自己資本比率
50.6%
前期46.0%から4.6ポイント改善
個別受注高
5,336億円
+24.8%・建築が急拡大
時価総額
3,477億円
株価1,921円(26/8/31)
PER(会社予想)
13.58
PBR 1.4倍・利回り4.37%(予想)
成長性
売上高+3.4%、個別受注高は+24.8%と3年ぶりの高水準。受注残高(個別繰越高)も+23.3%と積み上がり、来期以降の増収の種は豊富
収益性
営業利益率7.6%は前期8.3%から低下。純利益の伸びは投資有価証券売却益という一時要因に支えられている面が大きい
財務健全性
自己資本比率50.6%は建設業として標準以上。有利子負債は275億円と自己資本(2,083億円)に対し小さい
株主還元
年間配当80円(配当性向42.2%)から27/3期予想84円へ増配方針だが、配当性向は同業の西松建設(37.7%)と比べ突出して高くはない
バリュエーション
PER13.58倍・PBR1.4倍は同業の西松建設(PER10.73倍)・五洋建設(PER11.25倍)と比べやや高め。株式市場は27/3期の純利益急減予想(△25.4%)を織り込みつつある

※5軸評価は本レポート筆者の見解であり、投資勧誘ではありません。参考:26/3期実績(単位:百万円)は売上高439,615・営業利益33,618・経常利益33,257・純利益29,746、EPS189.68円・BPS1,327.51円。個別受注高533,583百万円・個別繰越高688,190百万円。営業CF28,432百万円・FCF25,911百万円・現金期末残高64,591百万円。27/3期会社予想は売上高490,000百万円・営業利益34,000百万円・純利益22,200百万円・年間配当84.00円。

💡 読み方:本業のもうけ(営業利益)は減っているのに、最終利益(純利益)は増えている——これは「保有している株式を売って得た利益」が特別利益として上乗せされたためです。来期の会社予想でこの純利益が一転して25.4%減益となっているのは、この一時的な株式売却益が来期は見込めない前提だからです。

02ビジネスモデル図解

モノ()・カネ()・情報()の流れで見る、安藤ハザマの稼ぎ方。

カネの流れ モノ・サービスの流れ 情報の流れ
起点ダム・トンネルなど大型土木を得意とした「間組(はざまぐみ)」と、都市部の建築工事に強かった「安藤建設」が2013年に経営統合し、両方の技術基盤を持つ準大手ゼネコンとして再出発した
定説ゼネコンは「土木(インフラ)」か「建築(ビル・マンション)」のどちらかに強みを持つ会社が多く、両輪を高水準で維持するのは難しいとされる
逆説安藤ハザマは統合の相乗効果で土木・建築どちらも売上の3割超を担う構成を維持。2026年3月期は土木事業の営業利益率が10.4%(15,484÷140,863)と建築(9.3%)を上回り、公共investment(国土交通省・地方自治体等)への依存度が高い土木が収益の下支え役になっている

連結売上高4,396億円の内訳は、建築事業が2,623億円(59.7%)と最大で、土木事業が1,409億円(32.0%)、グループ事業(資材リース・建設周辺サービス等7社集約)が265億円(6.0%)、その他が100億円(2.3%)。営業利益ベースでは土木154.8億円・建築243.7億円・グループ20.2億円・その他10.0億円の合計429.7億円から全社費用等92.6億円を差し引いて連結営業利益336.2億円となる。

💡 やさしく:普通のゼネコンを「和食と洋食どちらかが得意な料理店」に例えると、安藤ハザマは「両方をそこそこ高いレベルで出せる店」です。統合前は片方ずつが得意だった2つの会社が一緒になったことで、公共工事(土木)が景気後退期の下支えになり、民間の建築需要が旺盛なときは建築で稼ぐ、という分散が効きやすい構造になっています。

03成長の歩み — コロナ禍からの回復と、直近2期の急回復

2021年3月期から2026年3月期までの6年間、資材高騰・労務費上昇の影響で2023〜2024年3月期に営業利益が落ち込んだが、2025年3月期に急回復。売上高は6年で1.25倍、ROEは9.4%(24/3期)から16.3%(25/3期)へ大きく改善した。

売上高の推移(21/3期〜26/3期)

単位:億円 ■濃い棒=直近期

営業利益と純利益の推移

単位:億円。2023〜2024年3月期は資材・労務費高騰で営業利益が落ち込んだ

ROEの推移

2024年3月期9.4%を底に、2025年3月期16.3%へV字回復

2027年3月期会社計画:売上高4,900億円(+11.5%)、営業利益340億円(+1.1%)、純利益222億円(△25.4%)。純利益の減益予想は、26/3期に計上した投資有価証券売却益(103.9億円)のような一時的な特別利益を織り込んでいないため。

💡 やさしく:2023〜2024年3月期にかけて営業利益が198億円→186億円まで落ち込んだのは、資材価格や人件費が急上昇し、受注時に見積もった金額とのズレが利益を圧迫したためです。その後2025年3月期にかけて価格転嫁が進み、利益は急回復しました。ただし2026年3月期の純利益の伸びには「株式を売った利益」という一時的な要因も混ざっている点に注意が必要です。

04今期の焦点 — 受注ラッシュの裏で進む「量と質」のねじれ

安藤ハザマの個別受注高は2026年3月期に5,336億円(前期比+24.8%)と急拡大し、特に建築事業の受注が31.0%増と際立つ。しかし肝心の建築事業の営業利益率はむしろ9.4%減益——「受注は増えているのに、その事業の採算はむしろ悪化している」というねじれが今期最大の論点だ。

個別受注高の推移(土木・建築、23/3期〜26/3期)

単位:億円。建築の受注が2年で1.6倍に拡大

個別受注高合計は2023年3月期3,482億円→2026年3月期5,336億円(3年で1.53倍)。うち建築工事は2,449億円→3,900億円(1.59倍)と伸びが大きく、民間の再開発・データセンター等の建築需要が旺盛であることを示す。個別繰越高(受注残高)も6,882億円(前期比+23.3%)まで積み上がっており、来期以降の売上の"仕込み"は厚い。

セグメント別 売上高と営業利益率(26/3期実績)

単位:億円(棒)/%(利益率)。建築は売上最大だが利益率は土木より低い
💡 やさしく:「受注高」は将来の工事契約の金額、「売上高」は実際に工事が進んで計上された金額です。建築事業は受注(契約)が大きく伸びていますが、実際に施工している足元の工事の利益率はむしろ下がっています(13.8%→9.3%)。これは、今計上されている売上の多くが資材高騰前に受注した「安い契約」の工事であるためと考えられ、今回急拡大した高採算・高単価の新規受注の効果が売上・利益に反映されてくるのは今後の期になります。

05財務3表ビジュアル

売上4,396億円・自己資本比率50.6%の安藤ハザマのPL・BS・CFを図で読む。

PL滝グラフ — 売上4,396億円はどこへ消えるか(26/3期)

単位:億円
💡 やさしく:4,396億円売って、工事原価と販管費で4,060億円が消え、本業のもうけとして336億円(7.6%)が残ります。ここに投資有価証券売却益などの特別利益98億円が上乗せされ、法人税を払った後、最終的に297億円(6.8%)が株主のものとして残ります。

BS比例図 — 総資産4,116億円の中身(26/3末)

箱の高さ=金額。自己資本比率50.6%

受取手形・完成工事未収入金等2,007億円(総資産の48.8%)が資産の中心。投資有価証券は495億円まで拡大(前期末280億円から215億円増加)し、その他有価証券評価差額金の押し上げにも寄与している。

キャッシュフロー(26/3期)

単位:百万円。営業CF284億円

FCF(営業CF−設備投資・筆者算定)は+259億円。財務CFは配当支払128億円・長期借入金返済43億円により137億円の流出。投資CFは連結範囲変更を伴う子会社株式取得(シンガポールのQXY Resources社等、45.1億円)を含み64億円の流出。

06収益性 — 「見た目のROE」と「事業の実力」の差

ROE15.7%は前期16.3%からやや低下したが、依然として建設業として高水準。ただしこの水準には投資有価証券売却益という一時要因が含まれる点に注意が必要だ。

ROE(26/3期・決算短信公表値)
15.7%
6.77%
売上高純利益率
投資有価証券売却益込みで前期6.2%から上昇。営業利益率(7.6%)自体は低下している点とねじれる
× 1.12回
総資産回転率
工事未収入金など運転資本が重く、製造業のような高回転は望めない業態
× 2.07倍
財務レバレッジ
自己資本比率の改善(46.0%→50.6%)でレバレッジは前期より縮小方向

6.77%×1.12回×2.07倍≒15.7%(決算短信公表値と概ね一致。回転率・レバレッジは期中平均残高ベースの筆者概算)。ショーボンドホールディングス(純利益率17.3%×回転率0.69回×レバレッジ1.22倍)と比べると、安藤ハザマは「薄い利益率を、資産回転とレバレッジでカバーする」対照的な構造で、ゼネコン業態らしい薄利多売型の収益構造が表れている。

ROIC vs WACC — 資本コストを上回っているか(筆者試算)

単位:%。概算値

ROIC=NOPAT(営業利益336.18億円×(1−実効税率30.77%)≒232.78億円)÷投下資本(自己資本2,082.64億円+有利子負債275.14億円=2,357.78億円)≒9.87%。現金及び有価証券(1,157.14億円)を除いた事業ベースの投下資本(1,200.64億円)で見るとROIC19.39%に上昇する。いずれも推定WACC(5.5%程度)を上回っており、資本コストを超えて価値創造できている水準ではあるが、ショーボンド(現金等除くROIC24.59%)のような突出した資本効率ではない。

💡 やさしく:ROICは「事業に投じたお金1円あたり、何円もうけたか」という商売の実力測定です。安藤ハザマは9.87%と、資本コスト(5.5%程度)は上回っていますが、ROE15.7%ほどの派手さはありません。ROEが高く見えるのは、負債を含めた総資産に対する自己資本の比率(レバレッジ)や、一時的な株式売却益の影響が乗っているためで、「事業そのものの地力」を見るにはROICの方が実態に近い指標です。

07会計基準ビュー — JGAAP採用

安藤ハザマは日本基準(JGAAP)を採用。「当面は、日本基準で連結財務諸表を作成し、IFRSの適用については国内外の諸情勢を考慮し適切に対応する方針」と決算短信で明言しており、IFRS移行の具体的計画は開示されていない。

利益段階の比較(26/3期)

単位:億円
  • 営業利益336.18億円に対し、税引前当期純利益は430.49億円と94億円以上大きい。この差の大半(投資有価証券売却益103.88億円)は特別利益によるもので、JGAAPでは営業利益・経常利益と切り離して「特別損益」区分に計上される
  • もしIFRSであれば、保有目的によっては投資有価証券の売却損益がその他の包括利益(OCI)に区分され、そもそも当期純利益に含まれない可能性がある。安藤ハザマの純利益急増(+12.5%)の実態評価は、採用する会計基準によって印象が変わりうる典型例
  • 2026年1月にシンガポールの建設会社QXY Resources社を株式取得(対価45.1億円)した際に、のれん37.1億円を計上(暫定値)。JGAAPは10年均等償却だが、IFRSでは非償却・減損テストのみとなるため、今後10年間の期間損益への影響が会計基準で異なる
💡 やさしく:もしIFRSを採用していたら、株式を売った利益の扱いが変わり、今回のような「純利益だけが特別に伸びる」決算にはならなかった可能性があります。JGAAPは特別損益という"別枠"を設けて本業の実力(営業利益)と切り分けて見せてくれる一方、最終的な純利益にはこうした一時的な要因がそのまま混ざり込む点に注意が必要です。

08同業比較 — 準大手ゼネコン3社との差

土木を軸に建築・海外にも展開する西松建設(1820)、マリコン(海洋土木)に強い五洋建設(1893)、東急グループの建築中心の東急建設(1720)という、いずれも売上規模が近い準大手ゼネコン3社と比較(2026年8月31日時点の株価・valuation、各社2026年3月期実績の一次資料)。

安藤ハザマ西松建設五洋建設東急建設

売上規模では五洋建設(7,943億円)が圧倒的に大きく、安藤ハザマ(4,396億円)は西松建設(3,960億円)・東急建設(3,412億円)と近い水準。営業利益率は安藤ハザマ7.6%に対し、西松建設7.1%・五洋建設7.0%・東急建設4.8%と、4社とも一桁台の薄利構造である点はゼネコン業界共通。自己資本比率は安藤ハザマ50.6%が突出して高く、西松建設28.4%・五洋建設25.1%・東急建設35.9%と、他の3社は総資産に対する借入・工事未払金等の比率が高い。五洋建設は前期比△25.6%の反動で営業利益が154.9%増となった影響もあり、4社の中ではROEが最も高い水準(18.7%)にある。

💡 やさしく:4社とも「薄利多売」型のビジネスで、営業利益率は軒並り一桁台です。その中で安藤ハザマは、自己資本比率の高さ(財務の安定性)で頭ひとつ抜けています。逆に言えば、他の3社ほど借入や工事未払金を積極的に使って商売の規模を拡大していない、ということでもあります。

09戦略・課題と改善ポイント

受注拡大という追い風の裏側に、建築事業の採算悪化と、純利益の質(一時要因への依存度)という2つの構造的な論点を抱える。

強み Strengths

  • 個別受注高5,336億円(+24.8%)・個別繰越高6,882億円(+23.3%)と、来期以降の売上の"仕込み"が厚い
  • 土木・建築の両輪を持つ準大手ゼネコンとして、公共投資(土木)と民間建築需要の波を分散できる事業構成
  • 自己資本比率50.6%は同業3社(西松建設28.4%・五洋建設25.1%・東急建設35.9%)を大きく上回る財務健全性
  • 累進配当方針(1株当たり年80円以上)を掲げ、27/3期は年間配当84円へ増配予定

弱み Weaknesses

  • 建築事業の営業利益率が13.8%→9.3%(筆者算定)へ低下し、受注拡大のペースに採算改善が追いついていない
  • 純利益の伸び(+12.5%)は投資有価証券売却益という一時要因への依存度が高く、27/3期は純利益△25.4%の減益予想
  • 営業利益率7.6%は前期8.3%から低下し、資材・労務費の上昇圧力が引き続き利益を圧迫している
  • ROIC(投下資本ベース)9.87%はROE15.7%と比べ見劣りし、レバレッジと一時益に支えられた収益構造が透ける

機会 Opportunities

  • 建築事業の受注高が前期比+31.0%と急拡大しており、資材高騰前の低採算契約が売上化し終われば、利益率の反転改善が期待できる
  • 「中期経営計画2028」(27/3期〜29/3期)で連結経常利益365億円・ROE12%以上を目標に掲げ、事業戦略の深化と経営基盤強化を推進
  • シンガポールのQXY Resources社を株式取得し、東南アジアでのリニューアル建築事業に参入。海外事業の重点地域として拡大余地
  • 坂出バイオマス発電所の営業運転開始・太陽光PPA事業など、建設外事業(エネルギー事業)への展開が進む

脅威 Threats

  • 資材価格・労務費の上昇が続けば、今回受注した工事の採算も将来悪化するリスクがある(2023〜2024年3月期に実際に発生した局面の再来)
  • 建設業界共通の技能労働者の高齢化・人手不足、働き方改革対応によるコスト増
  • 27/3期の純利益は会社予想で△25.4%の減益であり、一時益に頼らない収益構造への転換が遅れると株式市場の評価が下がるリスク
  • 中東情勢や米国の通商政策等、資材調達・海外事業に影響しうる地政学リスク

改善ポイント(優先度つき)

最優先

建築事業の採算改善

受注時点での価格転嫁の徹底により、営業利益率9.3%(筆者算定)を土木事業並み(10.4%)へ引き上げられるかが、来期以降の増益の鍵を握る。

最優先

純利益の「質」の向上

投資有価証券売却益に依存しない、営業利益ベースでの増益基調の確立が必要。27/3期の会社計画(純利益222億円・△25.4%)は、この一時要因の反動を織り込んだものであり、実態はここからどう上振れさせるかが焦点。

中期

ROICとROEの差の説明責任

ROE15.7%とROIC9.87%の乖離は、投資家に「レバレッジと一時益による見かけの高さ」と誤解されないよう、事業ベースの実力(ROIC)を軸にした説明が求められる。

中期

海外事業・建設外事業の拡大ペース

QXY Resources社の買収やエネルギー事業(バイオマス・太陽光PPA)は方向性として評価できるが、連結業績への寄与度はまだ小さく、中期経営計画2028の期間で規模を追う必要がある。

💡 やさしく:安藤ハザマの課題は一言で言うと「今の受注拡大を、来期以降の"質の高い利益"にどう変換するか」です。受注(契約)はどんどん増えていますが、それが実際に高い利益率の工事として売上に反映されるまでにはタイムラグがあります。そこがうまくいくかどうかが、来期以降の業績を左右します。

10投資メリット・デメリット

「受注拡大による将来の増収期待」と「建築事業の採算悪化・純利益の一時要因依存」がせめぎ合う局面。27/3期の会社計画が純利益△25.4%の減益予想であることをどう織り込むかが本レポートの総括。

▲ 強気材料(メリット)

  • 個別受注高+24.8%・個別繰越高+23.3%と、将来の売上の"仕込み"が3年ぶりの高水準まで積み上がっている
  • 自己資本比率50.6%は同業3社を大きく上回り、財務健全性の面での安心感が高い
  • 累進配当方針(1株当たり年80円以上)のもと、27/3期は年間配当84円へ増配予定(予想配当利回り4.37%)
  • 土木・建築の両輪と、シンガポール事業拡大・エネルギー事業など新規成長領域への布石
  • 「中期経営計画2028」で連結経常利益365億円・ROE12%以上を掲げ、資本効率重視の経営姿勢を明示

▼ 弱気材料(デメリット)

  • 27/3期会社計画は純利益△25.4%の減益予想であり、26/3期の増益は投資有価証券売却益という一時要因に大きく依存していた
  • 建築事業の営業利益率が悪化しており(筆者算定13.8%→9.3%)、受注拡大が採算改善に直結していない
  • 営業利益率7.6%は前期8.3%から低下し、資材・労務費上昇圧力が引き続き重石
  • PER13.58倍・PBR1.4倍は同業の西松建設(PER10.73倍)・五洋建設(PER11.25倍)と比べ割安感に乏しい
  • ROIC9.87%とROE15.7%の乖離が大きく、事業そのものの資本効率は同業トップ(五洋建設ROE18.7%)に見劣りする

3つのシナリオ(筆者試算)

強気シナリオ建築事業の採算改善が進み受注拡大が増益に転化 → EPS160円×PER15倍=2,400円水準
中立シナリオ会社計画(EPS141.51円)通りに27/3期の減益を織り込む → EPS141.51円×PER13.6倍=1,925円前後(現値近辺)
弱気シナリオ資材・労務費高騰が再燃し建築の採算がさらに悪化 → EPS110円×PER11倍=1,210円前後
💡 はじめての方への総括:チェックポイントは3つ。①建築事業の利益率(受注急増をどこまで高採算な売上に変換できるか)、②27/3期の純利益(会社計画通り一時益の反動で減益するか、それとも上振れるか)、③自己資本比率50.6%という財務の余裕(今後のM&A・成長投資の原資になるか)。「受注は好調だが、利益の質にはまだ課題が残る」局面であり、「業績が伸びていること」と「今の株価で買って報われるか」は別の問いである、と覚えておいてください。