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🕒 最終更新: 2026-08-31

タマホーム 1419

東証プライム・福証日本基準(JGAAP)5月決算 住宅(低価格帯注文住宅)データ基準日 2026/8/28

「憧れの注文住宅を、お求めやすい価格で」を掲げる低価格帯注文住宅の最大手クラス。2026年5月期は住宅取得マインドの慎重化を受け注文住宅の受注が7,195棟(前期比△2.4%)・引渡が5,176棟(同△7.5%)に落ち込み、主力の住宅事業が営業損失1,066百万円へ初めて転落。戸建分譲を中心とする不動産事業の増益(営業利益3,581百万円・同+48.1%)で補い連結営業利益は3,842百万円(同△6.6%)を確保したが、親会社株主に帰属する当期純利益は同△17.9%の1,213百万円にとどまった。

💡 はじめての方へ:タマホームは「1,000万円台からの注文住宅」のテレビCMでおなじみの住宅メーカーです。今期最大のポイントは、稼ぎ頭だったはずの注文住宅事業が、統計を取り始めて以来はじめて「赤字」に転落したこと。会社全体としては黒字を確保していますが、その中身は不動産事業(分譲住宅の販売など)に支えられた黒字であり、本業のかたちが変わりつつあります。

01企業カルテ

2026年5月期実績(2026年7月14日開示)と現在の市場評価。

売上高(26/5期)
1,977億円
△1.5%・注文住宅の受注減が響く
営業利益
38億円
△6.6%(利益率1.9%)
親会社株主に帰属する純利益
12億円
△17.9%・2期連続の減益
ROE
3.8%
前期4.1%からさらに低下
自己資本比率
34.3%
前期37.1%から低下・配当支払等で純資産減少
住宅事業 営業損益
△11億円
前期は+3億円の黒字から赤字転落
時価総額
880億円
株価2,988円(26/8/28)
PER(会社予想)
21.65
PBR 2.92倍・利回り4.35%(予想)
×
成長性
売上高△1.5%・注文住宅受注棟数7,195棟(前期比△2.4%、ピークの2021/5期11,395棟から約37%減)と、受注環境は縮小基調が続く
収益性
連結営業利益率1.9%は住宅業界の中でも低水準。主力の住宅事業が初の営業赤字に転落し、不動産事業頼みの構造に
財務健全性
自己資本比率34.3%(前期37.1%から低下)。短期借入金を積み増して戸建分譲用地の在庫投資を賄っており、有利子負債が増加中
株主還元
配当性向298.6%(当期純利益を大きく上回る配当)。減配(195円→125円)はしたが、なお利益水準に対し厚い還元を継続
バリュエーション
PER21.65倍は、27/5期の大幅増益予想(純利益+229.7%)を織り込んだ水準。計画未達リスクを考えると割高感も残る

※5軸評価は本レポート筆者の見解であり、投資勧誘ではありません。参考:26/5期実績(単位:百万円)は売上高197,740・営業利益3,842・経常利益3,757・純利益1,213、EPS41.86円・BPS1,023.50円。総資産86,468百万円・自己資本比率34.3%。営業CF926百万円・FCF△76百万円・現金期末残高21,176百万円。27/5期会社予想は売上高230,000百万円・営業利益7,500百万円・純利益4,000百万円・年間配当130.00円。

💡 読み方:売上高の減り方(△1.5%)以上に、内訳の変化が重要です。稼ぎ頭の住宅事業が赤字に転落した一方、戸建分譲を中心とする不動産事業が伸びて会社全体を下支えしました。「本業の顔」が入れ替わりつつある年、と捉えるのが実態に近い読み方です。

02ビジネスモデル図解

モノ()・カネ()・情報()の流れで見る、タマホームの稼ぎ方。

カネの流れ モノ・サービスの流れ 情報の流れ
起点「憧れの注文住宅を、お求めやすい価格で」を経営理念に掲げ、資材の一括大量調達・工法の標準化・広告宣伝による集客力で建築費を抑え、低価格帯の注文住宅市場を切り拓いた
定説ハウスメーカーは「注文住宅を建てて売る」ことで稼ぐ会社
逆説タマホームは住宅・不動産・金融・エネルギーの4事業を持つが、金融事業(住宅ローン・火災保険の代理店手数料)・エネルギー事業(メガソーラー売電)は、注文住宅を建てた顧客に紐づく「住宅販売の副産物」的な収益源。2026年5月期はその主力の住宅事業が初の営業赤字に転落し、戸建分譲を柱とする不動産事業が連結利益の実質的な柱に入れ替わった

売上高197,740百万円の内訳(外部顧客向け)は住宅事業135,902百万円(68.7%)不動産事業54,917百万円(27.8%)・金融事業965百万円(0.5%)・エネルギー事業804百万円(0.4%)・その他事業5,149百万円(2.6%)。営業利益(3,842百万円)ベースで見ると、住宅事業は△1,066百万円の赤字、不動産事業が3,581百万円と連結営業利益の実額を上回る93.2%相当を稼ぎ出している。

💡 やさしく:タマホームを「注文住宅を建てる工務店」だとすると、金融事業は「住宅ローンや火災保険の窓口業務で手数料をもらう保険代理店」、エネルギー事業は「自社発電所で作った電気を売る電力会社」のミニチュア版だとイメージすると分かりやすいです。今期はこの本業の工務店部分が赤字になり、分譲住宅の販売(不動産事業)が会社の屋台骨を支えました。

03成長の歩み — ピークから4割近く縮んだ受注棟数

2019年5月期から2026年5月期までの8年間で、売上高・営業利益はともに2022年5月期をピークに減少基調へ転じた。特に注文住宅の受注棟数は2021年5月期の11,395棟から2026年5月期は7,195棟へ、5年で約37%減少している。

売上高の推移(19/5期〜26/5期)

単位:億円 ■濃い棒=直近期

営業利益の推移

単位:億円。2022年5月期の119億円から2026年5月期は38億円へ縮小

注文住宅の受注棟数・引渡棟数の推移

単位:棟。受注は2021年5月期をピークに5年連続で減少

2027年5月期会社計画:売上高2,300億円(+16.3%)、営業利益75億円(+95.2%)、純利益40億円(+229.7%)。中期経営計画「タマステップ2031」のもと、事業基盤の再整備を通じた業績のV字回復を掲げる。

💡 やさしく:2022年5月期をピークに、売上・利益とも右肩下がりが続いています。とくに注文住宅の受注棟数は5年前の3分の2以下まで落ち込みました。物価高・金利上昇への警戒から「住宅を買う」という大きな決断そのものが先送りされやすくなっている、住宅業界共通の逆風がタマホームにも直撃しています。

04今期の焦点 — 住宅事業、初の営業赤字への転落

2026年5月期最大の変化は、連結売上高の7割近くを占める住宅事業が、過去8年間で一度も無かった営業損失(△1,066百万円)を計上したこと。原価上昇・受注減少に対し、戸建分譲を中心とする不動産事業の増益がどこまで穴埋めできるかが焦点となる。

セグメント別営業利益の増減(25/5期→26/5期)

単位:百万円。住宅事業の縮小を不動産事業の拡大が一部相殺

住宅事業の営業利益は330百万円の黒字から△1,066百万円の赤字へ1,396百万円悪化した一方、不動産事業は2,418百万円から3,581百万円へ1,163百万円拡大。金融・エネルギー・その他の3部門合計は23百万円縮小し、連結営業利益は4,113百万円から3,842百万円へ271百万円の減少にとどまった。

注文住宅 受注実績(金額・棟数)

単位:億円・棟。24/5期〜26/5期
💡 やさしく:「受注」は、まだ引き渡していない“これから施工する仕事”のことです。当期受注金額1,674億円(167,474百万円、前期比△3.9%)・棟数7,195棟(同△2.4%)と、量そのものが縮んでいます。会社側は「集客は低調に推移したが、価格帯が市場ニーズと合致し成約率は向上」と説明しており、来店した顧客の成約率自体はむしろ改善——問題は「そもそも来店する人が減っている」入り口の細さにある。一方、戸建分譲事業の受注は528億円(前期比+15.5%)・1,614棟(同+10.5%)と対照的に回復基調にあり、用地仕入れの積極化(仕掛販売用不動産が期中で+9,892百万円増加)でこの動きに賭けている。

05財務3表ビジュアル

売上1,977億円・営業利益率1.9%のPL・BS・CFを図で読む。

PL滝グラフ — 売上1,977億円はどこへ消えるか(26/5期)

単位:億円
💡 やさしく:1,977億円売って、原価と販管費でほぼ全て(1,939億円)が消え、本業のもうけとして残るのはわずか38億円(1.9%)。ここからさらに営業外費用(借入金利息の増加等)を差し引いた経常利益は38億円、減損損失15億円を含む特別損失17億円を引いた税引前利益は22億円まで目減りし、最終的に株主のものとして残るのは12億円だけです。

BS比例図 — 総資産865億円の中身(26/5末)

箱の高さ=金額。自己資本比率34.3%

現金及び預金212億円(前期末310億円から98億円減少)に対し、仕掛販売用不動産(戸建分譲用の建築中在庫)が103億円から202億円へほぼ倍増。短期借入金を124億円へ積み増して(前期末75億円)この在庫投資を賄った。

キャッシュフロー(26/5期)

単位:百万円。営業CF9億円

FCF(営業CF−設備投資)は△76百万円(-76百万円)とわずかながらマイナス。財務CFは長期借入金の返済115億円等により96億円の流出となり、現金及び現金同等物は期末に212億円(前期末310億円から98億円減少)まで縮小した。

06収益性 — ROICは資本コストを下回る水準に

ROE3.8%は前期4.1%からさらに低下。住宅業界の中でも収益性が薄い部類に入る。

ROE(26/5期・決算短信公表値)
3.8%
0.61%
売上高純利益率
住宅業界としても薄利。ショーボンド(17.3%・厚利少売型)とは対極の「薄利多売」構造
× 2.21回
総資産回転率
在庫(仕掛販売用不動産等)を多く抱えるが回転率自体は高め
× 2.80倍
財務レバレッジ
自己資本比率34.3%=相応の負債を使って資産を積み上げている

0.61%×2.21回×2.80倍≒3.8%(決算短信公表値と一致。回転率・レバレッジは期中平均残高ベースの筆者概算)。薄い利益率を高い回転率でカバーする構造だが、今期は利益率がさらに薄まったことがROE低下の主因。

ROIC vs WACC — 資本コストを上回っているか(筆者試算)

単位:%。概算値

ROIC=NOPAT(営業利益38.42億円×(1−実効税率44.29%)≒21.40億円)÷投下資本(自己資本296.69億円+有利子負債150.95億円=447.64億円)≒4.78%。推定WACC(5.5%程度)を下回っており、今期のタマホームは資本コストに見合う価値創造ができていない計算になる。現金を除いた事業ベースの投下資本(235.88億円)で見てもROIC9.07%にとどまり、ショーボンド(現金除き事業ベース24.59%)のような高収益構造とは対照的。なお実効税率44.29%は、繰延税金資産の取り崩し等により通常より高くなっている影響を含む点に留意

💡 やさしく:ROICは「事業に投じたお金1円あたり、何円もうけたか」という商売の実力測定です。タマホームは4.78%と、会社がお金を集めるのにかかるコスト(5.5%程度と概算)をわずかに下回っています。銀行から借りたお金の金利以上には稼げているものの、株主・銀行トータルへの見返りとしては物足りない、というのが今の実力です。

07会計基準ビュー — JGAAP採用

タマホームは日本基準(JGAAP)を採用。「連結財務諸表の期間比較可能性及び企業間の比較可能性を考慮し、当面は日本基準で作成する方針」と決算短信で明言しており、IFRS移行の具体的計画は開示されていない。

利益段階の比較(26/5期)

単位:億円
  • 経常利益37.57億円は営業利益(38.42億円)よりわずかに小さい。支払利息の増加(3.27億円、前期2.02億円)が響き、営業外費用が営業外収益を上回った
  • 特別損失に減損損失15.41億円(前期9.66億円から拡大)を計上。住宅事業の一部拠点等の収益性低下を反映したとみられ、税引前利益を21.97億円まで押し下げた主因の一つ
  • JGAAPではのれんを規則償却するが、タマホームの連結BSにのれん残高の記載は無く、会計基準間の差異としては影響が限定的
💡 やさしく:もしIFRSを採用していたら、経常利益という区分自体が無くなり、営業外の損益・減損損失の扱いも変わってきます。ただしタマホームの利益段階の落ち込みは、会計基準の違いというより「本業(住宅事業)の実力低下+減損」という実態要因が主因である点は、どの会計基準で見ても変わりません。

08同業比較 — 低価格帯・パワービルダー系3社との差

分譲住宅最大手のケイアイスター不動産(3465)、檜の注文住宅を掲げる日本ハウスホールディングス(1873)、そして業界最大手の飯田グループホールディングス(3291)という、いずれも低価格帯〜量産型の住宅関連3社と比較(2026年8月28日時点の株価・valuation、各社直近の一次資料実績)。

タマホームケイアイスター不動産日本ハウスHD飯田グループHD

タマホーム(売上高197,740百万円・営業利益率1.9%)に対し、分譲住宅中心のケイアイスター不動産は売上高393,905百万円・営業利益率6.9%と規模・収益性ともに上回り、しかも前期比+15.0%増収+56.4%増益と成長基調にある。日本ハウスホールディングス(売上高29,618百万円・営業利益率8.0%)は規模こそ小さいが利益率は高い。業界最大手の飯田グループホールディングス(IFRS・売上高1,508,864百万円)は営業利益率6.3%とタマホームの3倍超の水準。4社の中でタマホームだけが営業利益率2%を切っており、住宅取得マインドの逆風を最も強く受けている構図が浮かぶ。自己資本比率もタマホーム34.3%に対し、日本ハウスHD51.4%・飯田グループHD50.8%と、ケイアイスター不動産(20.6%)を除く2社が上回る。

💡 やさしく:同じ「手が届く価格の住宅」を掲げる会社でも、分譲住宅(あらかじめ土地建物をセットで作って売る)に軸足を置くケイアイスター不動産は好調が続く一方、注文住宅(顧客ごとにゼロから建てる)中心のタマホームは苦戦しています。「注文住宅は、住宅を買う人の決断そのものが減ると受注が細りやすい」という業態の違いが、明暗を分けている可能性があります。

09戦略・課題と改善ポイント

住宅事業の赤字転落という構造変化に対し、不動産事業への依存度上昇と、在庫投資を支える借入増加という2つのリスクが同時進行している。

強み Strengths

  • 「1,000万円台からの注文住宅」という価格訴求力を持つブランド認知度と、234ヶ所の全国営業拠点網
  • 成約率自体は向上(会社説明)しており、来店した顧客への提案力・価格帯設計は市場ニーズに合致
  • 戸建分譲事業が前期比+7.1%増の1,444棟・不動産事業営業利益+48.1%と、住宅事業の落ち込みを補う第2の収益源に育っている
  • 住宅ローン・火災保険の代理店手数料(金融事業)、メガソーラー売電(エネルギー事業)という、注文住宅事業に紐づく安定収益源を保有

弱み Weaknesses

  • 住宅事業が営業損失1,066百万円(-1,066百万円)に転落。注文住宅受注棟数はピーク(2021年5月期11,395棟)から約37%減少
  • 連結営業利益率1.9%は同業(ケイアイスター不動産6.9%・日本ハウスHD8.0%・飯田グループHD6.3%)と比べ最も低い
  • 自己資本比率34.3%(前期37.1%)へ低下。短期借入金を積み増して在庫投資を賄う構図で、財務の柔軟性が縮小
  • 配当性向298.6%と、当期純利益を大きく上回る配当を継続しており、内部留保を取り崩す形の株主還元

機会 Opportunities

  • 戸建分譲事業の受注が前期比+15.5%と回復基調にあり、用地仕入れの積極化が奏功し始めている
  • 中期経営計画「タマステップ2031」のもと、事業基盤の再整備を通じたV字回復を経営陣が掲げている
  • 省エネルギー性能・住宅性能への関心の高まりなど、価格と品質のバランスを重視する顧客ニーズへの商品ラインナップ拡充余地
  • リフォーム事業では引渡後10年超のオーナー向けアプローチ強化が奏功しており、保証延長工事等のストック収益拡大の余地

脅威 Threats

  • 人口減少に伴う国内住宅市場の縮小・新設住宅着工戸数の減少という構造的な逆風
  • 物価上昇・住宅ローン金利動向への関心の高まりが続けば、住宅取得マインドのさらなる冷え込みリスク
  • 輸入木材やナフサ由来製品を中心とした資材価格の上昇基調が続けば、原価率のさらなる悪化リスク
  • 建設業界共通の技能労働者の高齢化・人手不足

改善ポイント(優先度つき)

最優先

住宅事業の収益構造の立て直し

受注促進施策と原価管理の両面から、営業赤字に転落した住宅事業をどこまで黒字圏へ戻せるかが2027年5月期以降の業績を左右する最大の論点。

最優先

受注減少に歯止めをかける集客改善

会社側は「成約率は向上したが集客が低調」と説明しており、来店・問い合わせという入り口の弱さの改善が受注棟数回復の前提になる。

中期

不動産事業への依存とその裏側の在庫リスク管理

戸建分譲用の仕掛販売用不動産が期中で倍増(103億円→202億円)しており、短期借入金による資金調達が続く中、販売回転率の管理が重要性を増す。

中期

配当政策の持続可能性

配当性向298.6%という高水準の還元は、利益水準が今期から一段と細る中では内部留保の毀損ペースを速める。27/5期の計画達成度合いを見ながらの見直しが論点になり得る。

💡 やさしく:タマホームの弱点は「商品力」というより「本業の入り口(受注)が細っていること」です。分譲住宅というもう一つの武器で今は持ちこたえていますが、この武器も在庫(土地・建築中の家)を借金で積み増して賄っている構造なので、無限に頼れるわけではありません。

10投資メリット・デメリット

「住宅事業の赤字転落」という構造変化のただ中にあり、27/5期の会社計画(純利益+229.7%の大幅増益)が絵に描いた餅で終わるか、実現に向かうかが最大の分岐点となる局面。

▲ 強気材料(メリット)

  • 戸建分譲事業が前期比+15.5%の受注増・+48.1%の営業増益と好調で、住宅事業の落ち込みを実際に補い始めている
  • 会社は「成約率は向上」と説明しており、集客改善が実現すれば受注棟数の反転余地は残る
  • 中期経営計画「タマステップ2031」による事業基盤の再整備・V字回復シナリオを経営陣が明示
  • 「1,000万円台からの注文住宅」というブランド力・234ヶ所の営業拠点網という参入障壁
  • 配当利回り4.35%(予想)は同業他社(ケイアイスター不動産4.02%・日本ハウスHD3.64%・飯田グループHD3.91%)と比べても高水準

▼ 弱気材料(デメリット)

  • 主力の住宅事業が初の営業赤字(△1,066百万円)に転落し、収益構造そのものが揺らいでいる
  • ROIC(自己資本+有利子負債ベース)4.78%は推定WACC(5.5%程度)を下回り、資本コストに見合う稼ぎができていない
  • 27/5期会社計画(純利益+229.7%)は前期実績からの大幅な跳躍であり、未達となれば株価の調整余地が大きい
  • 自己資本比率34.3%へ低下し、短期借入金を積み増して在庫投資を賄う構図で財務の柔軟性が縮小
  • 配当性向298.6%は純利益を大きく上回り、内部留保を取り崩す形の株主還元が続いている

3つのシナリオ(筆者試算)

強気シナリオ集客改善で受注が反転し中期計画「タマステップ2031」が軌道に乗る → EPS160円×PER20倍=3,200円
中立シナリオ会社計画(EPS137.99円)通りに進み、現状PER水準が概ね維持される → EPS137.99円×PER21.65倍=2,988円前後(現値近辺)
弱気シナリオ住宅事業の受注減・原価上昇が続き27/5期計画が未達に終わる → EPS80円×PER15倍=1,200円前後
💡 はじめての方への総括:チェックポイントは3つ。①住宅事業の黒字転換(△11億円の赤字がいつどこまで縮まるか)、②注文住宅の受注反転(会社が言う「成約率向上」が「受注棟数の増加」につながるか)、③在庫(仕掛販売用不動産)と借入のバランス(分譲事業の在庫投資が借金頼みで膨らみすぎていないか)。「業界最大級のブランド力を持つ住宅メーカーが構造転換点にある」ことと「27/5期の高い会社計画がそのまま実現するか」は別の問いである、と覚えておいてください。